近視眼
大学の学部在学中に親戚のおばさんからLeitzMinolta CLというカメラを譲り受け、今に至るまで愛用している(もらった個体は露出計が死亡、さらにスプロケが割れ、マスキングテープでフィルムを止めているような状態になり、しまいにはレリーズボタンが吹っ飛び使用不能になった…現在は買い増ししたCLとCLEの二台体制)。50mmのレンズはKonicaのHexanon 50mm F2のかなり状態の良いものを中古で買って使っていたが、CLの距離計との相性が悪いのか開放付近になるとピンボケが多かった。あっさり目の写りがそんなにしっくりこなかったというのもあって早々にヤフオクで売ってしまい、代わりに当時投げ売り状態になっていたコシナ発のフォクトレンダーシリーズ、COLOR SKOPAR 50mm F2.5を買った。
Konicaの失敗を受けて、まずピントの具合をチェックしようと、余りもののどうでも良いフィルムを詰め込み、全て絞り開放、なるべく近距離で撮るようにした。何となくずっと気になっていた写真たちなので載せておく。
伯楽寮の写真はずいぶん撮ったが、情けない話ついつい広角で景色ばかり撮ってしまい、このように細部各部を見て写真を撮ったのはこれが初めてだったかも知れない。あと数ヶ月で伯楽寮のメインの建物が取り壊しとなるタイミングでようやくのことだった。このとき大辻清司氏の写真実験室を知っていれば、伯楽のモノをどんどん撮っていったのに今さらながら思う。一方で、北井一夫氏のなかではやや異色な『おてんき』という写真集が、ライカのビゾフレックスというシステムを手に入れることによって出来上がったというエピソードも思い出す。このColorSkopar 50mm F2.5が自分にとってのビゾフレックスであったというのは大分しょい過ぎではあるが、良いレンズは新しい視点を与えてくれるものであると思うし、機材に撮り方を教わるということもあるのだろう。