狂騒の終わり

初夏からずっと、月に5日程度の休み(といってもほとんどが画像処理や次の撮影地への移動に費やされたのだが)で動いてきた。暑さが過ぎた夏もあっという間の事で、気付けば秋が深まり、学校やスポーツの写真を主業にする者にとっては閑散期である長い冬が来ようとしている。

ひたすらに写真を撮ってきた日々はハレとケでいえば「ハレ」の日の連続で、「ケ」すなわち生活や暮らしには目もくれず後回しにしてきた。
今、まさにそのツケが冬の寒さの予感を伴って訪れようとしている。

かつて伯楽寮にいた頃は暮らすことに重きを置いて、それは経済的な辛苦を伴ったが一つの僥倖であった。その頃は、命の気配が消え辺りが静まる冬は、澄んだ空気と再生の予感に満ちた、楽しむべき季節だった。
しかし、暮らすということがどういうことだったのか、忘れかけてすらいる今の己に冬は容赦がない。冬の備えを満たし、手で一つ一つ生活をまた組み立てていかないと、冬の長さに押し潰されてしまいそうな暗い予感がしている。