インターン終了

今日2週間のインターンが終了した。担当になった人が非常によく面倒を見てくださる方で、いい体験ができたと思う。インターンというよりは、国土地理院で実習を受けているような感じだった。
まず門外不出の彩色迅速図を、デジタルデータではあるが存分に見尽くすことができたこと。迅速図は明治14〜19年にかけて、陸軍参謀本部が土地勘のない西南戦争でボカスカにやられたことから地図の必要性を痛感し、取り急ぎ三大都市圏の地図を作成しようとしたものだ。伊能図以来の、しかも洋式では初めての官製地図であり、地図からは作成当初の苦労と戸惑い(正北と磁北を間違えたり、描画が適当だったり、凡例も人次第だったり…)が感じられる。無数に空いた針の穴が、平板測量の大変さを物語る。15年ごろ、次第に手馴れてきたころのものは、手書き彩色ならではの美しい図面に加え、軍事上の必要以上の挿絵(正式名称忘れた)が目を引く。渡船場や街道の風景、集落の軒並み、山からの眺望、磯の荒波…当時の風景を伝えるだけでなく、当時の人々(とくに洋画の訓練を受けたひとたち)がどのように景色を捉えていたのか、その「景色のセンス」のようなものを伝えるものとしても非常に面白い。

簡単な操作ではあるが、GISソフトも扱って、迅速図や旧版図を重ね合わせ、比較する作業も行った。山の手線から西に青梅まで、北は川越市の境、南は日野までの地域を選んだ。明治の「原風景」と呼ぶにふさわしい茫漠とした平野、対照的ににぎわう街道筋、大正に入ると鉄道があらかた整備され、早速市街地の拡大が始まる。戦後の市街地の拡大の様相も、よく見ると一様ではなく、面白い。
明治には関東平野という地面を這って進むなめくじのように見えた狭山丘陵に、貯水池ができ、回りは障害物だらけになり、ついには半分以上姿を市街地に変えてしまうさまは、開発の時代を象徴しているかのようだった。


航空レーザ計測すごいっす。