帰宅

 岩だらけで行場のような縦走路を、35kg以上はある荷物を抱えながら這々の体で下り、 8日朝に下山しました。そのまま帰筑、9、10、と方々で飲んで、11〜13は疲れのためか放心状態で坂口安吾全集やどうでもいい漫画をパラパラとめくるなどし、14くらいからもぞもぞとグループ展の準備に取りかかっておりました。

 早池峰、ようやく行き着けば花は終わり、天気ももやもやで肝心の写真はあまり撮影できませんでしたが、写真眼?のようなものは成長しているかな、と思います。j数少ないながらもここぞというチャンスは撮れているのではないかと。営林署の職員さんに「景色が撮れないなら誤魔化せばいいんでね?その辺の森撮ったって草撮ったっていい。これだって保護群落に指定されている、立派な早池峰の一部なんだから。」というようなことを言われて、はっとさせられたのが良かった。それからものの見方が結構変わりました。ありがとう、おじちゃん。モノクロで撮影した野仏やら神社やら木やらがどう撮れているか、楽しみです。
RB67の扱いにも随分と慣れました。重いのが最大最強の欠点ですが、それさえ気にしなければ…撮りやすいカメラです。フィルムバッグの存在や、レボルビング機構(本体を傾けることなく縦横が変換できる)には助けられました。頂上でお会いした大判写真家さんの機材の重量を聞いて、気持ちがだいぶぐらっとしましたが。そんなに歩いていないのに、かなり筋肉が付いたのは喜んで良いのやら。

大判写真家さんを始め、神社の方や監視員の方、新聞記者さん、お神楽ファンクラブの方々など、たくさんの人と知り合うことが出来、そういう意味ではとても充実した旅になりました。いい意味で、早池峰山は人の集まるところ、人に好かれる山なんだと思いました。しかし岩手の人は親切な人がいっぱいだなぁ。上記の方々にもとても親切にしてもらったし、ヒッチハイクもやむにやまれず2回ほどしたのですが、どちらも交通量が多い場所でないにも係わらず5分で停まってくれる人が現れました。感謝の限りです。
あと、岩手の人はのんびりとしている人が多い。一日3本しかないバスのダイヤを間違えて、バスの運転手さんに愚痴った時は、「まぁでも旅ってそんなもんじゃない?」と言われて、苛々していた気持ちがすっと消えてしまいました。トラブルやハプニングも楽しんでこその旅じゃないかと(一応、単に旅というより、仕事になるかも知れない撮影旅行なんだが…)。でも運転手さん、最寄りのバス停から徒歩一時間くらいで目的地へ行けると仰ったものの、降りてみたら8kmの表示…しかも登り…あの時は愕然としました。なんせ40kgオーバーの荷物背負ってますから。そんなところものんびり(笑) で、やむにやまれずヒッチハイクしたところ、すぐに農協の方が拾ってくれたと。
人生ものんびりと捉えている人が多いんじゃないか。自分は今、不安定で展望の薄い生活をしていて、同期の友人や先生には、会えば大丈夫かいな、今からでも真っ当な道に戻るのは遅くないぞと心配されますし、下級生なんかにはちょっとイッちゃった可哀想な人と思われているのかも知れません。当人も大丈夫だよなんとかなるさははは、とかいいつつそれにしっかり影響されて鬱になったりするのですが、岩手で境遇を話しても誰一人、更生?を促す人はいませんでした。まぁ何とかなるんじゃないの、うちらの周りにも結構変わった人いるし、ってな感じです。監視員さんに至っては、なんだまだ20代なのか、20代は丸々遊んでいても大丈夫!遊べ!という感じに言われて、ずいぶん気を楽にさせて貰いました。