渉猟

久しぶりに市立図書館に行く。すると、小学生だった頃の自分を思い出した。当時の自分は大の図書館で、小3にしてNewtonや鉄道ジャーナル(いかんいかん!)を読みふけり、片田舎の町の小さな分室の本を全部読みかねない勢いであった。当時の猛烈な飢え、もっともっとという盲目的な好奇心、そしてそうするだけでおおよその事が許されていたことをふと思い出した。最近、図書館に来てもあまりそういう心境にはならなかったものだ。やっぱり図書館はいい。病的な渉猟を受け容れてなおあまりある広大な空間…ここなら俺も許されるのだ。さらに、今をときめく遠藤浩輝の『EDEN』で、「この星の全データをストックせよ」というセリフがあったのを思い出した。本を読んで、その先にあるものは…渉猟、獺祭、それもまた良しだし、自分はこの欲を見たし、傍観者であるだけで満足なのだが…そうも言ってられないし、かといって自分にそれ以上のものがあるのだろうか。ここは一流の傍観者を目指すべきか。

ということでとりあえずシューマンの歌曲集と、オネゲルのレクイエム、シベリウスの歌曲集を借りてみる。珍しく全部クラシック。しかもあまり聴かない歌もの。あのオペラ歌手の発声ってどうも好かんのよね。でも借りてみる。本は、ガルシア=マルケスの短編集と星野道夫の奥さんの手記、同じく星野の『表現者』と題された立派な装丁の本、写真を勉強すべく木村伊兵衛土門拳についての本を借りてみる。楽しみだ。