芸術ってむずかしい

舘野泉がセヴラックの作品集の解説で、セヴラックの音楽が「真の意味で健康で自然で(近現代ではむしろ蔑まれてきた傾向だ)、世界と人生を大きく抱擁し肯定的する精神に満ちていた」と述べているくだりがあるのだが、その言葉を聞いて思い出したこと。
中学のころ、別に自分が掲載されるわけでもない中学生の書道展を、わざわざ自転車を10kmこいで見に行ったことがある。掲げられた作品をみると、たしかにみんな美しい字を書く。だが、どこか面白くない。そんななか、会場を歩いていると、豪放といおうか、奔放といおうか、生気のほとばしっている作品群があった。いわゆる上手な文字ではないのだが、一画一画に気持ちがみなぎっていて、それでいて爽やかで小気味よかった。
あとで確認してみると、その一画は盲学校の生徒たちの作品展示だったということである。