春の祭典聞き比べ

身の回りにあるのはアメリカオケの演奏ばっかり。自分はどちらかというとロシアとか東欧のオケの民族色ヴァリヴァリのこゆい演奏を探しているのだが、ない。そういう意味でペトリューシカだけどストラヴィンスキー自作自演集には期待したい。でもアメリカ人が春の祭典好きなのは分かる気がするなあ。

Stravinsky: L'Oiseau de feu/Le Sacre du printemps/Persephone

Stravinsky: L'Oiseau de feu/Le Sacre du printemps/Persephone

  • アーティスト: Igor Stravinsky,Michael Tilson Thomas,Stephanie Cosserat,San Francisco Symphony Orchestra,San Francisco Symphony Chorus,Stuart Neill,The Peninsula Boys Chorus Ragazzi,San Francisco Girl's Chorus
  • 出版社/メーカー: RCA
  • 発売日: 1999/01/11
  • メディア: CD
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これが現時点でのベスト。サンフランシスコシンフォニーは、ブロムシュテット時代はパワー型のオケだったと思う。ニールセンの不滅聴いたら1楽章がチューバ大活躍で、ふーん、こういう曲なのかと思って他団体の演奏聴いたら全然聞こえなかったとか、わりととんがったオケだったのが、昨年生で聴きに行ったら、クリアな音質と超緻密なアンサンブルをやっていてびっくり。1812に期待していったのに、良かったのはショスタコーヴィチの祝典序曲とプロコフィエフの古典だったということからも察して下さい。
このCDもそんなテイストがあるけど、さすがアメリカオケ、決めるところはきっちり決めてくれるので爽快かつ、フレージングと構成がわかりやすい。ファゴットソロも秀逸。春の祭典って、モチーフが次々と現れて、あまり曲同士の一体感を感じないんだけど、この演奏は1曲に聞こえます。都会派だけど実は激しいのよ〜という感じで良い。


Rite of Spring

Rite of Spring

ある意味黄金の組み合わせ。テラークだし結構期待大だったのだが、胸を少しだけ走った予感通り、「お、重い…」


Symphony 5 / Rite of Spring

Symphony 5 / Rite of Spring

コントラファゴット、グッジョブ!
総合的にはサンフランシスコ寄りながら、決め所ではクリーヴランドぽっくなってて、どっちつかずというか、ちょっと物足りない。しかししかし、何故この組み合わせなのか、ライヴでもないのに全くもって謎だけどニールセンの5番はすごい!こりゃ名演です。オケが春の祭典とは別のオケみたいに生き生きしている。テラークの録音技術は爆発の時よりも、静かなアンサンブルとか叙情的な盛り上がりのときに活きるということを知った。パーヴォさんはやはりよく研究しているのか、明晰なフレージングと構成。こんなわかりやすくていい曲だっけ!?と驚くこと請け合い。いやー、勇ましく綺麗な曲ですな。春の祭典は釣りか?

・・・ブックレット見ると、それぞれが異なる手法と背景によって人間の「野蛮性」を表現しているから、みたいなこと書いてありました。なるほど・・・ってなんかこじつけっぽいなぁ。ニールセンの音楽に出てくるこの凶暴な感覚は「野蛮」とはまた何か違うものだと思う。なんだろ。
強いて言うなら戦争を経て、人間に根本的に不安と不信を持ちつつも、それでもやはり人間を愛せずにはいられない、って感じだろうか。書いてて恥かしいな。不滅も似たような趣旨を感じるけど、下手に定式化されていないだけにこっちのほうが気取らない、それでも気高くありたい生の感情が届いてくるような気がする。

あぁぁぁあ、ゼミ前なのにやってしもた…