ジャケはダサいが・・・

Live in Tokyo

Live in Tokyo

新版だと、パチモノ感満々だった「ビル・エバンス ライブ・イン・トーキョー」の字が無くなってますね。アメリカ人にはかっこよく見えていたんでしょうか?
最初聴いたときは、失敗した、と思ったこのライブ録音、よくよく聴いてみるとかなり味わい深い一品でした。まずビル・エヴァンスの演奏に影や鬱要素がほとんど感じられないこと。これは結構珍しいことだと思います。選曲も一曲目の「Mornin' Glory」、二曲目の「Up With The Lark」、7曲目の「Hullo Bolinas」など、他のCDではほとんどお目にかかることのできない、愛らしい小品が並んでいます。特に一曲目の「Mornin'Glory」が、ボッサなニュアンスの強い、とても爽やかかつ可愛らしい曲で、このアルバムの落ち着いた、かつ爽やかで幸せかつ前向きなイメージを規定しています。なので、ビル・エヴァンストリオにおける「前衛的」の代名詞的存在である「T.T.T.T.」すらも素敵に爽やかです。

 3人のバランスがよく、インタープレイが自然でわりと安定感があるのも、このアルバムの大きな特徴だと思います。何かと評判の悪いドラムス、Marty Morellですが(確かにジャズのドラマーらしくないなーとは思いますが、そして興奮するとリズムが乱れる・・・)、このアルバムは快演が多いような気が。ドラムのことはよくわからんのですが、とりあえずソロを聴いていて飽きないし、上手いような気がするし、乗れます。エヴァンストリオでは「My Romance」は伝統的?にドラムソロを長くとりますが、このテイクは3本の指に挙げられるのではと思います。そのドラムにゴメスたんがアルコソロで絡んできて、かなり楽しいです。

 そして極めつけは最後の2曲、「Gloria's Step」と「On Green Dolphin Street」。どちらも70年代以降あまりやらなくなってしまった曲ですが、今回は気合入っています。とくに「Gloria's Step」はちょっとモレルたんが興奮していますが(ていうかズレている気がしますが)、かっこいいです。Sunday at the Village Vanguardのテイクしか知らない人には是非聴いて欲しい演奏。