ビル・エヴァンスの実際

tsukuba3とビル・エヴァンスのライヴビデオ(ビル・エヴァンス・トリオ・ライブ・アット・ザ・メインテナンスショップ’79?   [VHS])を鑑賞。メンバーはパリ・コンサートと一緒。ビル・エヴァンス愛想全然ないなあ。MCと呼べるものはなし。曲名をただ低い声(声は渋い)述べるのみ。神経質そうだし。唯一のMCのようなものが,「モニターを調整してください。」「モニターの低音がきつすぎる。30分かけて調整したのに。」です。かなりとっつきにくそうですわこのおじさん。弾いているときもにこりともしないし。のっているのかいないのか,面白いのかつまらないのかよく分からないポーズ。

タッチは本当に冒頓とした感じ。何気なくポンと鍵盤に手をのせているだけに見えるのにああも繊細な表現が出来るとは。ゆっくりとしたきれーいなグリッサンドを中指一本でつつつとやっているのにもびびった。一番おどろいたのは音の少なさ。音が厚く聴こえるのはアルベニスのイベリアのように,内声の和音をかなり多用しているからでしょうか。

ベースもやばかった。上手すぎです。ハイトーンの正確さや驚異的な早回しはもちろんのこと,歌っている。とても歌っている。ビル・エヴァンスインタープレイでどんどん絡んでいき,まるで即興で対位法を駆使した音楽を繰り広げているかのようだった。

一番すごいと思ったのは、曲の流れがとても自然なこと。テーマからアドリブ、バースなどに入るときに、よっぽど上手いミュージシャンでも、「あ、こっからアドリブ」と露骨に感じてしまうのだが、この演奏ではその区切れがちょっとぼーっとしているともう分からないほど自然。インタープレイも自然。